4. メリット
・高い耐候性がある
無機塗料最大のメリットは、何と言ってもその耐候性(紫外線に対する強さ)です。
これは、無機成分自体が紫外線での劣化をほとんどしないからです。石やガラスは何十年経っても劣化しません。無機塗料の耐用年数は20年以上とも言われており他の塗料と比べて長いです。
・カビ・コケが繁殖しにくい
無機塗料は、カビ・コケ・藻が生えにくい性質(防カビ・防藻性)を持っています。
なぜなら、カビ・コケなどの栄養分である有機物の含有量が少ないからです。(ただし完全に滅菌するわけではありません。)
カビ・コケは建物の見た目を悪くしてしまいますし、根を張ることで建材自体を傷めてしまいます。無機塗料を使うことによって、外観を長く綺麗に保つことができます。
・汚れが落ちやすい
無機塗料は、水となじみやすい親水性という性質を持っており、表面についた汚れが雨で流れ落ちやすく、美しさを保ってくれます。雨が降ると塗膜と汚れの間に水が入って汚れを流してくれるのです。
※汚れがすべて完全に流れるわけではありません
・燃えにくい
無機塗料は非常に火に強く、燃えにくいという利点があります。そもそも無機物が燃えにくいもの(不燃性)だからです。有機物は燃えると二酸化炭素が発生し、黒く焦げて炭になります。
ただ無機塗料は100%無機ではなく、有機成分も含んでいるので、全く燃えないわけではないのですが、それでも有機塗料と比べて十分燃えにくいです。万が一近隣の火事などが飛び火してきても燃え移りにくいため、二次災害の確立を低くすることができます。
5. デメリット
・価格が高い
無機塗料は高機能で長く持つ塗料ですが、その分費用が高いです。
・ヒビ割れしやすい
無機塗料は無機物を主成分としているため塗膜が固くなります。
建物に大きな衝撃を受けた場合、ヒビ割れを起こす可能性があります。特に外壁の塗装をする場合は、弾性を考慮した塗料を使うこともおすすめします。
6. 無機塗料の注意点
6-1 無機塗料の質には幅がある
まずは「無機塗料の中でも質に幅がある」ということです。
ひと口に無機塗料と言っても、様々な種類があり中にはシリコンやフッ素とあまり変わらない耐久性のものもあります。理由として“無機物が何パーセント含まれていたら無機塗料”という定義が決まっていないからです。
例えば、シリコン系塗料にほんの数パーセント無機成分が入っているだけでも、無機塗料と表記できてしまいます。そのため、有機塗料とほとんど同じ中身であっても、無機塗料と表記している塗料も出回っています。
基本的に大手塗料メーカーが製造する無機塗料であれば、無機物の含有量が少量と言うことはほとんどありません。逆に、あまり聞いたことのないメーカーの塗料や自社開発を謳う無機塗料には注意が必要です。
そうならないために…
質のよい無機塗料を選ぶには、実績のある大手塗料メーカーの製品で、カタログなどにきちんと試験結果(促進耐候試験や*屋外暴露試験)が掲載されているか確認しましょう。
(*屋外暴露試験:試験体を実際に自然環境下にさらして状態の変化を確認する方法)
6-2 悪徳業者に注意する
外壁塗料といえばウレタン、シリコン塗料が主流でしたが、現在では多くの種類があります。しかし、その耐用年数はよくもってフッ素系塗料で「15年~」、無機塗料で「20年~」となっており、30年という数字には程遠くなります。
「無機塗料なので30年は長持ちしますよ」悪徳業者がよく使う騙し文句です。このような騙し文句を決して鵜呑みにしないようにしましょう。
無機塗料には様々な種類があり、中には質の良くないものや効果が実証されていない無機塗料を高額な値段ですすめてくる悪質な業者もいます。
耐用年数が長い、汚れにくい、燃えにくいなどのメリットがある無機塗料ですが、それは大手メーカーが作っている信頼出来る塗料である場合のみのお話しです。悪徳業者がすすめてくる信頼出来ないメーカーというのは無機塗料でなくても不安部分が多く「20~30年ほど持つといわれた塗料が数ヶ月で剥がれてきた」といったことは本当によくあることです。もちろん、大手メーカー以外の塗料であっても、すばらしい塗料があるのかもしれませんが、判断する材料がありません。
現在大手塗料メーカーでは、外壁塗装で耐用年数が30年もつ塗料は未だに実現できでいない状況です。30年もつと言われる塗料を扱っている業者は、オリジナル塗料(大手塗料メーカー以外の塗料)の日本では実績の少ないものになります。特に訪問販売業者が扱う塗料としても有名ですので、即決せずに必ず他塗料と比較するようにしてください。このような信頼性に乏しい塗料の提案をしてくる訪問販売もいますので、即決などせずに他の業者でも塗料の相談をしながら施工技術や費用面も含めて比較していくことが大事です。