5-4 張り替え
外壁材が劣化しすぎて塗り替えやカバー工法では対応が出来ない場合は外壁材の張り替えを行うことになります。
ALC外壁は耐用年数が約50年以上と非常に長くなっていますが、これは定期的にメンテナンスを行った場合の耐用年数です。劣化が激しい場合は50年以上使う前に外壁を張り替える必要が出てくるため、定期的なメンテナンスは忘れないようにしましょう。
6. ALC外壁を使用する際の注意点
・防水性の高い塗料を使用する
ALC外壁は水に弱い建材であるため、防水機能で補います。仕上げ材に使用する塗料は防水性の高いものを選ぶのがポイントです。一般的には水性のシリコン系やフッ素系塗料が使用されます。塗料は種類によって価格や性能が異なります。塗料の性能によってALC外壁の耐久性も変わってくるので、業者と相談して適した塗料を選びましょう。
・透湿性の高い塗料を使う
ALC外壁を塗装する際は、透湿性の高い塗料を選びましょう。ALC外壁は多孔質で内部に細かな気泡が多重に入っています。日当たりのよい外壁面は急激に温められることによって熱膨れ(熱膨れとは気泡に溜まった湿気が急激に温められることによって蒸気になって外部に出ようとする力で塗膜を外に押し出し膨れ上がる現象のこと)を起こす場合があります。このようなトラブルが起きないようにできるだけ透湿性の高い塗料を選ばれることをおすすめします。塗料は専門の業者に相談しましょう。
・コーキングは適切な時期に補修
パネルのつなぎ目には、ゴム状のコーキングが充填されています。外壁や家を長持ちさせるためにコーキングは重要な役割を果たしています。ALC外壁の目地劣化はサイディングなどの外壁よりも雨漏りに直結しやすいです。ALC外壁の内側には基本的に、防水シート(二次防水)がないからです。肉痩せや剥離、ひび割れといった症状が現れたら早めに補修を行う必要があります。コーキングは一般的に7~8年が寿命といわれています。雨漏りを起こさないためにも、適切な時期で補修・メンテナンスをする必要があります。
【参考】コーキング打ち替えが必要な劣化状態と費用相場を徹底検証!
・定期的なメンテナンスが必要
塗装による防水性が失われると耐久性が低下してしまいます。塗装から10年を目安に業者にみてもらい適切なメンテナンスしてもらうことをおすすめします。
・ALCの施工実績が豊富にある
工事を依頼する場合、ALC外壁の塗装実績が多い業者にしましょう。現在の住宅で最も多いサイディングが7~8割を占めています。ALC外壁は1割未満と非常に少ないです。ALCをやったことがない…という業者も存在します。依頼する前にALC外壁塗装の実績の有無を聞いて確認しておくと安心です。
7. 外壁材との他の見分け方
・目地がある → 窯業系サイディング *ALC
・目地がない → モルタル外壁材 樹脂系サイディング
・目地はあるが目立たない → 金属系サイディング(一般的に使われている窯業系に比べて叩いた時の感覚と音が異なります)
・目地とタイルが一体化しておらず、違う素材が使われている → タイル
*ALC
目地があるサイディングとALCを見分けるのは難しいかもしれませんが、ボードの厚さで判断する事が出来ます。他の外壁材と比べるとALCは大変分厚い壁と言えます。窯業系サイディングと比べるとほぼ倍近くの厚さで100mm以上のものが多いです。また判断基準の一つとして、ALCは窓が外壁の面よりも内側にあることが多いです(出窓は除きます)。パネルの幅もALCは90mm幅が多くサイディングより広いです。またサイディングボードの垂直方向の合わせ目は圧着なので、コーキングが横方向に充填されることはほとんどありません。対してALC外壁パネルは、縦方向だけのサイディングに対し、縦にも横にも目地があるため、目地自体の量が多いです
8. まとめ
ALC(軽量気泡コンクリート)という建材は、特殊なコンクリートの一種です。通常のコンクリートの約1/4の軽量で、工場生産により品質が安定しています。軽量なので施工性が良く、多くの建物で使われている建材です。また断熱性が高く、耐火性にも優れていますが水に弱いという弱点があります。ALCには防水性の高い塗料を使用しましょう。
メリット
・50年を超える高い耐久性!
・断熱性に優れ夏涼しく、冬暖かい!
・耐火性に優れ安全性が高い!
デメリット
・吸水性が高く、水の影響を受けやすい
・初期費用が高い
ALC外壁は耐用年数が50年以上と非常に長くなっていますが、これは定期的にメンテナンスを行った場合の耐用年数です。一般的なサイディング同様に、ALC外壁は定期的なメンテナンスが重要になります。再塗装に加えて、クラック修復などの下処理をおこなう必要のある壁材です。高耐久&防水性の良いコーキング材を使用することで長期間の防水性能が保てます。ALC外壁は、外壁修繕のタイミングを見極め、住宅に最適な方法でリフォームを計画するようにしましょう。