瓦は自然界に存在する粘土を捏ねて窯で焼いたもの。建物の屋根を葺くのに使われる瓦は 、飛鳥時代に百済からその技術が伝えられて以来ずっと使われてきました。 もともとは寺社仏閣の建築資材でしたが、次第に一般住宅にも使われるようになり、現在に至ります。耐久性が非常に高く、自然災害などでの破損がなければ、50年以上もしくは100年程使用することができます。粘土瓦には、代表的なもので釉薬をかけて焼いた「釉薬瓦」、焼いた後に燻した「いぶし瓦」、そのまま焼いた「素焼き瓦」などがあります。基本的にどの瓦でも断面や角が丸みを帯びているのが特徴です。
3-1 メリット
■高寿命で耐久性が高い
粘土瓦の耐用年数は製造方法によって若干異なりますが、陶器瓦では50年以上と高寿命なのが特徴です。表面はツルツルしていることから汚れが付きにくく外観の変化がしにくいです。また高温で粘土を焼き上げているため、瓦自体が非常に強く割れたり破損しにくくなっています。
■防音性に優れている
瓦自体の厚みと野地板との間に空気の層ができることから、防音性に優れており雨音などきにならないというメリットがあります。
■色褪せ・色落ちしにくい
粘土瓦でも釉薬を塗って焼きあげた陶器瓦では、色褪せや色落ちすることがほとんどありません。いぶし瓦は時間が経てば黒く変色したり色むらが発生することがあります。ただこの色むらは劣化ということでなく瓦の性能に何ら問題はありません。
■サビが発生しない
粘土瓦は金属製でないため、サビは発生しません。ただし、いぶし瓦ではまれに粘土に含まれている鉄分と雨水が反応して、サビができることがあります。いぶし瓦にできるサビは内部にまで進むようなものではなく、表面の層に発生するもので瓦の品質には悪影響を及ぼしません。
■防水性が高く雨漏りしにくい
粘土瓦は防水性が高く雨漏りしにくいというメリットがあるので、雨が多い日本ではおすすめの屋根材です。ガラス質や炭素塗膜により表面を覆われているため、水を通すことがないからです。また瓦を屋根に葺く際もつなぎ目は重ねて施工する場合がほとんどなので、下地にまで水が入り込むこともありません。
■断熱性の高さ
金属に比べると土は断熱性が高いといわれています。粘土瓦は土でできており、厚みもあることから断熱性に優れた屋根材です。また、瓦屋根は瓦同士が重なっているためこのすき間が空気層となり、外の熱が伝わりにくい構造となっています。そのため、湿気がこもることなく夏は涼しく冬は暖かな家となります。
3-2 デメリット
■重量があるため耐震性は低い
粘土瓦の一番のデメリットは、瓦の重量が重く建物の耐震性が低下することです。陶器瓦の重量は1枚当たり約2.7~3.6㎏、これに下地などを加えると一坪当たりの重量は230~300㎏ほどになります。建物は重心が上にいくにつれて耐震性が下がります。現在の建築基準で建てられた住宅であれば、十分な耐震性を確保する工事がされています。心配な方は耐震性を調査してもらい、耐震性問題がある場合は軽い屋根材へ葺き替えるなどの対策を取りましょう。
■費用が高い
粘土瓦はメンテナンスの費用が高いうことがあります。これは屋根材自体が高額なことに加えて、施工に手間や時間がかかるため工事費が高くなるのが理由です。
初期費用は高くなりますが、その後のメンテナンスにほとんど費用がかからないので、屋根材を選ぶ際にはこの先のメンテナンス費用のことを考えトータルでお得な屋根材を選ぶようにしましょう。
■台風・強風で二次被害にあう
重さのある瓦屋根は、台風や突風といった強風で瓦が落下する危険があります。重量があるので風に舞うことなくそのまま真下に落下し、落下地点のものを破損します。住宅を直撃すると窓ガラスが割れたり、人にあたると大けがをすることもありますので注意が必要です。
3-3 劣化症状
・瓦の割れ
・瓦のズレ
・変色
・コケや藻の発生
3-4 メンテナンス
粘土瓦には塗装メンテナンスの必要がありません。他の屋根材に比べて耐久年数が長く、耐火性や防水性に優れているので、塗膜で保護する必要がないためです。初期費用はかかりますが長い目でみてトータルコストが抑えられます。
ただし屋根を構成するのは屋根材だけでなく、雨どいや下地なども含まれています。それらの耐用年数は瓦のように長くないため、それぞれの耐久性によって交換や補修が必要となります。